「植草一秀の『知られざる真実』」
2016/12/30
オール沖縄は埋立承認即時撤回をなぜ求めないのか
第1628号
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沖縄県の翁長雄志知事は2014年11月の沖縄県知事選で
「辺野古に基地を造らせない」
ことを公約に掲げた。
しかし、その辺野古で、現在、米軍基地建設が実行されている。
このまま進めば、翁長氏は公約を守れないことになる。
政府は辺野古の米軍基地建設を強行しようとしている。
これを阻止することは容易なことではない。
裁判に訴えても、裁判所が行政権力の「僕(しもべ9)
ば、裁判所が適正な判断を示すことも期待し難い。
最終的に重要なことは、
「辺野古に米軍基地を造らせない」
方針を掲げる政権が誕生することである。
これが問題解決に必要不可欠な条件である。
翁長氏が本当に
「辺野古に基地を造らせない」
公約を守る意思があるなら、辺野古米軍基地建設を
「一秒でも先送りする」
ために全力を注ぐ必要がある。
基地建設を一秒でも遅らせ、
つのだ。
ところが、翁長雄志知事の行動は、この真逆のものになっている。
基地建設を遅らせるどころか、
基地建設を推進するものになっている。
口では
「辺野古に基地を造らせない」
とか
「あらゆる手法を駆使する」
などと言っているが、現実の行動は、
のになっている。
この矛盾を直視して、翁長氏の行動を正すことが必要である。
その責務を負っているのは
「オール沖縄」
のメンバーである。
「オール沖縄」
は
「翁長氏を知事にするための組織」
ではなく
「辺野古に基地を造らせないための組織」
であるが、この原点が忘れられているように見える。
「辺野古に基地を造らせない」
ためには、知事就任後、直ちに「埋立承認の取消、撤回」
た。
順序としては、まず「取消」を行い、これが成功しない場合に「
ということで良いだろう。
重要なことは、
この点が最重要であるのには理由がある。
辺野古基地建設阻止の裁判を行う場合、
と、そのことが根拠になって
「訴えに利益がない」
との判断が示されやすくなることだ。
もともと「行政権力の番人」である裁判所なのであるから、
示しやすい条件を付与することは絶対に避けなければならないので
これを逆の側から見ると、次のことも言える。
それは、「辺野古に基地を造らせる」ことを推進するには、
体を進捗させてしまうことだ。
口では「辺野古に基地を造らせない」と言いながら、
の進捗を容認してしまう。
こうすると、結局は、裁判闘争などを経ても、「
いう現実が発生することになる。
翁長知事は埋立承認を取り消したが、
を受理したあとだった。
今回は埋立承認取消を取り消したが、最高裁判断が示されても、
進んで埋立承認取消を取り消さねばならぬ事情はなかった。
この措置を受けて、国は直ちに辺野古基地建設工事を再開した。
工事が進めば進むほど、基地建設を阻止するのは難しくなる。
翁長氏の行動は「辺野古に基地を造らせる」
いる。
「オール沖縄」は
「辺野古に基地を造らせないための組織」
であって
「翁長氏を支える後援会組織」
ではないのではないか。
「翁長氏を支える後援会組織」
であるなら、翁長氏の行動がどのようなものであっても、
「翁長氏は正しい」
「翁長氏を批判するのはやめよう」
としていればいいだろう。
しかし、
「オール沖縄」
が
「辺野古に基地を造らせないための組織」
であるなら、
いまこそ、翁長氏に対してはっきりとものを言うべきである。
最高裁判断が示されても、
翁長氏が埋立承認取消を取り消したために何が起きているのか。
辺野古米軍基地建設の本体工事が再開されたのだ。
現実に
「辺野古に基地が造られている」
のだ。
「埋立承認取消を取り消す」
なら、
同時に「埋立承認を撤回する」
べきであったのは言うまでもない。
これを同日に実行せずに、
「埋立承認取消を取り消す」
ことは、単に、辺野古米軍基地建設を促進するだけの結果を招く。
現にそうなっている。
翁長氏が知事に就任して、
沖縄県は辺野古米軍基地建設本体工事着手に必要な事前協議書を受
い。
そうであれば、
辺野古基地建設の時期を大幅に先送りできた。
今回、最高裁が埋立承認取消を違法だと判断したが、
り消さなければならない事由はない。
翁長氏が埋立承認取消を取り消すなら、
た。
翁長氏が埋立承認を撤回せずに、
辺野古米軍基地建設を直ちに再開したのである。
翁長氏は埋立承認撤回の検討を本格化させる方針を示したが、
ない。
翁長氏が知事に就任したのは2014年12月。
埋立承認の取消に動いたのは2015年10月のことだ。
この間、専門家が埋立承認撤回と埋立承認取消について、
えたのではなかったのか。
そもそも、この10ヵ月の時間の空費が
「辺野古に基地を造らせる」
うえで最重要の時間になった。
埋立承認取消を取り消すなら、
にすべてシナリオが用意されていなければおかしい。
現在の状況は、
「辺野古に基地を造らせる」
シナリオが着実に進行しているものである。
この現状に対して、
「オール沖縄」
がどのような対応を示すのか。
「辺野古に基地を造らせない」
ことを純粋に追求する人々は、厳しい目で注視している。
「オール沖縄」
が翁長氏に対して、
「埋立承認撤回の即時実行」
を求めないなら、この組織が、
るとの疑念を一段と強いものにすることになる。
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著者:植草一秀(政治経済学者)
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